犬の停留精巣とは?放置が危険な理由と手術について【症例紹介】

こんにちは。
サークルどうぶつ病院五条、院長の小川修平です。
本日はわんちゃんの停留精巣(腹腔内精巣)について放置が危険な理由や実際の治療法(手術)についてお伝えします。

・片方の精巣が見当たらない
・子犬なのに精巣が降りてこない
・元気だから様子見でいい?

実際に、こうした相談はとても多いです。
犬の停留精巣は、見た目の問題ではなく、将来的な病気のリスクが高まる状態です。

このブログでは、

  • 停留精巣とは何か
  • なぜ放置が危険なのか
  • 手術はいつ・なぜ必要なのか

を解説します。


犬の停留精巣とは?

停留精巣とは、
本来陰嚢(精巣が入っている袋)に降りてくるはずの精巣が、体内に残ったままの状態です。

  • 片側だけの場合(片側性停留精巣)
  • 両側の場合(両側性停留精巣)

があります。


精巣はいつまでに降りるの?

  • 通常:生後1〜2か月
  • 遅くても:生後6か月まで

生後6か月を過ぎても降りていない場合、自然に降りる可能性はほぼありません。


停留精巣を放置するとどうなる?

① 精巣腫瘍のリスクが大幅に上がる

停留精巣は、
正常な位置にある精巣より、腫瘍化のリスクが数倍高い
とされています。

特に多いのは、

  • セルトリ細胞腫
  • 精上皮腫

② 精巣捻転のリスク

腹腔内や鼠径部にある精巣は、
捻じれやすく、急激な痛みやショックを起こすことがあります。


③ ホルモン異常

腫瘍化すると、

  • 左右対称性の脱毛
  • 皮膚トラブル
  • 雌性化症状(乳房の腫れ)

などが出ることもあります。


停留精巣は治療が必要?

治療=外科手術(去勢手術)が推奨されます。

理由は明確で、

  • 将来的な腫瘍のリスクを下げる
  • 精巣捻転を防ぐ
  • ホルモンによる体調悪化の予防

残念ながら、薬で治す方法や自然治癒はありません。


手術はいつするのがベスト?

一般的には、

  • 生後6か月〜1歳前後

全身状態・犬種・体格を見ながら決めます。

※ 停留精巣の場合、開腹手術(お腹を開いて行う手術)になりますので
通常の去勢手術よりやや難易度が上がります。


手術の流れと注意点

(以下、実際の手術画像があります。苦手な方はご遠慮ください)

  • 麻酔前の術前検査(血液検査や胸部レントゲン検査)
  • 精巣位置の確認(超音波検査)
  • 開腹手術での停留精巣の摘出
  • 術後管理

停留している精巣だけ残す、という選択はしません。

精巣が本来の位置に一つしかありません。

片側の精巣が腹腔内にありました。

正常の精巣位置の切開と開腹のための切開があります。


右側が腹腔内の精巣です。
栄養があまり行かず、正常の精巣よりも小さくなっています。
これを放置していると将来的に発がんのリスクが上がります。

よくある質問

Q. 片側だけなら大丈夫?

大丈夫ではありません。片側の精巣が腫瘍になる可能性があります。

Q. 繁殖をさせたい場合は?

停留精巣は遺伝性が疑われ、繁殖は推奨されません。

Q. 手術をしない選択は?

→ 将来的ながん発生のリスクが上がるため、おすすめしません。


まとめ

犬の停留精巣は、「今困っていない」状態こそが落とし穴です。

症状が出てからでは、手術リスクも治療負担も大きくなります。

「精巣が片方見当たらない」その時点で、一度ご相談ください。

PS 
今回、手術を頑張ってくれたモナカちゃんです!よく頑張ったね!


サークルどうぶつ病院五条
院長 小川 修平