「お水を飲む量が増えた?」は病気のサインかも。犬猫の多飲多尿について解説

「最近、お皿の水の減りが早い」「おしっこの回数や量が増えた気がする」 そんな変化は、単なる季節のせいではなく、体の中からの大切なSOSサインかもしれません。

今回は、「多飲多尿」と判断する基準と、考えられる原因について詳しくお話しします。


1. 「多飲多尿」のチェック基準

まずは、ご自宅で「異常」を判断するための具体的な数値を知っておきましょう。

飲む量(多飲)の目安

1日(24時間)で、体重1kgあたり以下の量を超えて飲む場合は注意が必要です。

  • わんちゃん:100cc / kg 以上
  • ねこちゃん:50cc / kg 以上 (例:5kgのわんちゃんなら500mlペットボトル1本分以上)

おしっこの濃さ(比重)

尿の濃さを測定する「尿比重」という数値も重要です。

  • わんちゃん:1.030以下
  • ねこちゃん:1.035以下 特にねこちゃんの場合、**1回でもこの数値を下回る(薄いおしっこが出る)**と、腎臓などの機能低下が疑われます。

2. なぜ「多飲多尿」が起こるのか?

おしっこの量が増える仕組みには、大きく分けて3つのパターンがあります。

① ホルモンの指令が届かない(中枢性尿崩症)

脳(下垂体後葉)から、尿を濃縮させるホルモン「バソプレシン」がうまく出なくなる状態です。指令が出ないため、おしっこがどんどん出てしまい、その分お水をたくさん飲むようになります。

② 腎臓が指令を受け取れない(腎性尿崩症)

ホルモンは出ているのに、受け取る側の腎臓が反応できない状態です。

  • 原発性: 生まれつきの体質。
  • 二次性: 他の病気(クッシング症候群、甲状腺機能低下症、子宮蓄膿症など)が原因で、ホルモンの効き目が悪くなるもの。

③ おしっこに水分が引っ張られる(浸透圧利尿)

尿の中に塩分や糖分が多くなり、それがスポンジのように水分を一緒に外へ出してしまう状態です。

  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病 などが代表的な原因です。

その他、精神的な要因で水を飲みすぎてしまう**「心因性多飲」**というケースもあります。


3. 原因を特定するための検査

多飲多尿の原因を突き止めるためには、一般的な血液検査や尿検査、ホルモン検査、エコー検査などに加え、以下のような特殊な検査を行うことがあります。
特に原発性尿崩症と腎性尿崩症(原発性)と心因性多飲を見分けるには少し特殊な検査が必要です。

  • バソプレシン投与試験: ホルモンを投与して、尿が濃くなるかを確認します。
  • 水制限試験: 数日かけて徐々に飲水を制限し、体が尿を濃縮できるかを調べます。 ※これらはワンちゃん・ネコちゃんの体調を慎重に見極めながら実施します。

まとめのメッセージ

「年をとったから水をよく飲むようになった」と見過ごされがちですが、その裏には早期発見が必要な病気が隠れていることが多々あります。

特にねこちゃんは、1回でも薄いおしっこが出たら要注意です。 「測ってみたら基準値に近かった」「少し様子が気になる」という方は、ぜひ一度尿検査のために、新鮮なおしっこを持ってご相談にいらしてください。