慢性鼻炎とネブライザー治療【症例紹介】
おはようございます。
サークルどうぶつ病院五条、院長の小川修平です。
本日は猫の慢性鼻炎について説明します。
また、当院で行なっているネブライザー治療についてもご紹介いたします。
ずっとくしゃみをしている、鼻水が止まらない、などの症状が気になる方は是非ご一読ください!
① 猫の慢性鼻炎ってどんな病気?
猫の慢性鼻炎は、
くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどの症状が数週間〜数ヶ月以上続く状態を指します。
特に、慢性鼻炎と呼ばれる病気は別名、特発性鼻炎、リンパ球形質細胞性鼻炎、アレルギー性鼻炎などと呼ばれ、身体の免疫反応が関わっている自己免疫疾患と考えられています。
診断は除外診断といって、他の同じ症状を起こす病気の可能性(ウイルス感染による鼻炎など)を取り除き、その上で確定診断には麻酔をかけた検査(CTや鼻腔内視鏡、生検など)が必要になります。
慢性的な鼻炎の症状を呈する病気には
鼻腔内腫瘍(39%)慢性鼻炎(35%)異物(10%)鼻咽頭狭窄(6.5%)原発性細菌感染(2.6%)鼻ポリープ(2.6%)外鼻孔狭窄(2.6%)外傷(1.7%)
などがあります。
いわゆる慢性鼻炎は猫さんの治りにくい、くしゃみの原因で2番目に多い割合になっています。
この病気が実は非常に根治が難しく、上手に付き合っていく必要がある病気になります。
② なぜ「治らない」ことが多いのか
- 鼻腔の構造がダメージを受けている
- 免疫の低下により症状が再燃する
- 鼻腔内は場所的に薬物が届きにくい
つまり「完治」を目指す病気ではなく、生活の質が下がらないように「症状をコントロールする」病気です。
③ ネブライザー治療とは?
ネブライザー治療は、
薬や生理食塩水を霧状にして鼻・気道に直接届ける治療です。
人でも慢性鼻炎や副鼻腔炎の方が同様の治療を行うことがあります。
- 鼻腔内を湿潤な環境にする
- 鼻水をサラサラにして出やすくする
- 局所的に抗菌薬・抗炎症剤を届ける
飲み薬と異なり、全身の副作用が少ないのが大きなメリットです。
また、局所の点鼻薬よりも薬が鼻腔の奥に届きやすい治療となっております。

こんな感じで、薬剤の入った霧状の液体を充満させ呼吸を介して猫さんの鼻の奥に薬剤を届けます。
④ ネブライザーは「何に効く?」「何に効かない?」
効きやすいこと
- 鼻水がサラサラになる
- 鼻詰まりが軽減
- 呼吸が少し楽になる
- 食欲が戻るきっかけになる
効かないこと
- 壊れた鼻粘膜の構造を元に戻す
- 一生くしゃみをゼロにする
- 病気を完治させる
完治を見込める治療では無いですが継続することで「生活の質」は上がることが多いです。
⑤ 実際の治療方法
ネブライザー単独での治療は効果が弱いことも多いです。
また、症状が重度の猫にはネブライザーの頻度を増やしたり、ご自宅でもネブライザー治療を実施してもらうことをお勧めしております(具体的には毎日〜週に3回程度)。
- ネブライザー(生食 ± 抗菌薬 ± 去痰薬)
- 必要に応じて短期の抗菌剤の使用
- 抗炎症薬(ステロイド→これも副作用の少ない吸入剤に変更することも可能です)
- 免疫調整のサプリメント
- 生活環境の調整(加湿など)
複数の治療を状態に応じて上手に組み合わせることが重要です。
その中でもネブライザーは体への副反応がほとんど見られない治療なので、効果がある場合は重宝します。
⑥ まとめ
- 猫の慢性鼻炎は治す病気ではなく、上手に付き合う病気
- ネブライザーは完治させる強力な治療ではない
- でも、他の治療と組み合わせることで猫のQOLを上げる強力なサポート治療
ネブライザー治療は、体に負担が少なく行える治療で他の治療と組み合わせたり、頻度を増やすと非常に有効な治療法です。
なかなか猫風邪が治らなかったり、くしゃみや鼻水でお困りの猫ちゃんはぜひ一度ご相談ください。
サークルどうぶつ病院五条
院長 小川 修平



