歯科予防
予防歯科のイメージ

PREVENTIVE DENTISTRY

予防歯科の重要性(お口の健康は、全身の健康)

人間と同じで犬猫も悪くなってから治療をするのではなく、歯周病にならないように防ぐことが重要です。それを防ぐための取り組みを予防歯科と言います。実際に歯周病を有している犬とそうではない犬で寿命が15%伸びてくれるとの報告があります。

また歯周病を有している犬猫は心臓病や腎臓病の発生率が有意に上昇するとの報告があります。そして歯周病の怖い点は3歳の犬猫の約80%が、程度はどうであれなんらかの歯周病を有しているということです。

つまり、歯周病にならず健康に長生きするためには予防歯科はとても重要です。人の場合は、健康な人でも6ヶ月に1回、リスクの高い人は1〜3ヶ月に1回のプロケアが推奨されており、毎日毎食後のセルフケアが必須とされています。

犬猫の場合も、人間より歯周病になりやすい(口腔内のpHやセルフケアの難しさが理由)ので、本来なら3ヶ月に1回程度クリーニングが必要です。ただし、犬猫の場合はクリーニングを実施するのに全身麻酔が必要なので、AAHAのガイドラインでは年に1回のスケーリングが推奨されています。適切な毎日のホームケアと定期的なクリーニングで歯の健康、ひいては全身の健康を長く保つことができます。

予防歯科を行うメリット

  • 健康寿命が伸びる
  • 内臓疾患のリスクを減らせる
  • 将来的な痛みのリスクを取り除ける
  • 抜歯をせずに温存できる可能性が高くなる
  • 噛む喜びを守る
  • 麻酔リスクが低いタイミングで処置できる
  • 全身の体調悪化を防げる
  • 通院による経済的な負担やストレスを減らせる
  • ご家族とのコミュニケーション・絆が深まる
  • 口腔内の異常を早期発見できる

2歳での「はじめてのクリーニング」のお勧め

2歳でのスケーリングと聞くと「早いのではないか?」と驚かれるかもしれません。

ただ、シニア期に備えて、7歳ごろに初めてのクリーニングを実施する際には、見た目以上に歯周病が進行しており、抜歯が必要な歯が複数存在していることがほとんどです。

つまり、大切な歯を守るには、2歳ごろで初めての歯科クリーニングをお勧めします。

実際にAAHAのガイドラインでも、2歳になるまでに本格的な歯科予防処置(完全な歯のクリーニング、研磨、および口腔内レントゲン撮影)を受けることが推奨されます。

この年齢で実施することで生まれつきの歯の異常(咬合異常や萌出不全、形成不全など)に気がつくことも出来ます。

2歳の若いからこそ、歯と骨の健康を守れます。歯周病は一度進行してしまうと、どれだけ高度な処置を行なっても、歯と骨を完全に戻すことはできず、抜歯をするしか選択肢がなくなってしまいます。

2歳での麻酔下クリーニングは、将来の病気を未然に防ぎ、健康で長生きするためにその子にしてあげられる最善の選択です。

麻酔処置を不安に感じる方もおられると思います。実際に全身麻酔というのは100%の安全性ではありません。そのような処置だからこそ、全身状態を精密に検査し、最大限安全に配慮いたしますので、ご興味のある方はぜひご相談ください。

2歳での初めてのクリーニング

HOME CARE

ホームケアについて(毎日の歯磨き)

病院でのクリーニングと同じくらい(あるいは頻度でいうと最も)大切なのが、ご自宅でのデンタルケアの習慣です。

自宅での毎日のデンタルケアと動物病院での定期的なメンテナンスで犬猫の歯の健康を初めて守れます。

歯についた歯垢(プラーク)は3〜7日で口腔内のカルシウムと混ざって歯石になってしまったり、歯周病の細菌はバイオフィルムという強固な膜を作り、その中ですぐに繁殖し、毒素を放出し、炎症を起こしたり骨を溶かしてしまいます。そのため毎日のデンタルケアで歯垢のない状態の歯を維持することがとても重要です。

その中での磨き残しやどうしても取れない部分を動物病院でのクリーニングで定期的に除去するというのが理想的です。

サークルどうぶつ病院五条では、丁寧で詳細な口腔内のチェックと図や模型を用いた分かりやすい説明で、オーダーメイドの予防・治療計画をご提案いたします。毎日の歯磨きを私たちの二人三脚で目指していきませんか?

すでにお利口に磨かせてくれる子にも、獣医師の目線で見た、歯周病予防のためのブラッシングの方法やブラシやそれ以外の製品の選び方など、お気軽にご相談ください。

ホームケアのイメージ

ホームケアの悩みと大切なこと

とは言っても、自宅でのデンタルケアにはいろんな悩みがつきものです。じっとしてくれない、歯ブラシを見ただけで逃げてしまう、噛まれてしまう、などなど。

実際にプラークやバイオフィルムを確実に除去できるのは毎日のブラッシングだけです。

昨日できなかった子が突然「全ての歯をお利口に磨かせてくれるようになりました」という魔法の方法は残念ながらありません。ですが、その子とご家族のペースで少しずつ、毎日の歯磨きを習慣にしていくことは可能です。昨日よりも少しできるようになったということを、継続していくことが何より重要です。

  • じっとしてくれない・逃げてしまう場合 まずはお口を触る練習からスタートしましょう。ご褒美を使いながら少しずつ慣らしていくことが大切です。無理強いは禁物です。
  • おやつ・食事での補助 硬すぎるガムや骨、蹄、角、おもちゃは歯の破折の原因になるため避け、歯に良い効果のあるフードやおやつを選びましょう。
  • 水分補給と咀嚼 水をお皿などから多く飲む習慣をつけることは口腔内環境を整えます。サプリメントも、ホームケアと合わせて使うことで有効な場合もあります。

当院のデンタルドック(お口の定期検診)の流れ

PROCESS

  • 01

    歯周病の基礎知識とケアの重要性

    まずは、歯周病が全身の健康に及ぼす影響や、なぜ日々のケアが必要なのかを解説します。当院オリジナルの資料を用い、初めての方にも分かりやすくお話しします。

  • 02

    お口の中の精密チェック(視診)

    歯科専門の検査ライトなどを使用し、肉眼で詳細に検査します。

    • 歯垢・歯石の付着状況
    • 歯肉の炎症(赤み)
    • 噛み合わせ
    • 口腔内の腫瘍(できもの)の有無
    • 口臭など
  • 03

    最適なケアプランのご提案

    検査結果に基づき、その子に今必要なケアを判断します。

    • 病院での処置:プロフェッショナルクリーニング(歯石除去)の必要性
    • ご自宅での処置:継続可能なホームケアの方法
  • 04

    プロによる実践アドバイス

    ご自宅でのホームケアが必要な場合は、実際に歯ブラシやケア製品を使用し、その子に合わせた具体的な磨き方のコツを丁寧にお伝えします。

  • 05

    口腔内写真の撮影・共有

    お口の状態を撮影し、飼い主様と共有します。現状を視覚的に記録しておくことで、将来的な変化にも迅速に対応できます。

  • 06

    次回検診日の決定

    お口の健康を維持するためには、定期的なチェックが欠かせません。検診の結果に合わせた、最適な次回の受診タイミングを決定します。

デンタルドックのイメージ

DENTAL DOCK

当院のデンタルドック(デンタルケア診察)

ホームケアだけでは難しい細部まで、アドバイスさせていただきます。成長後はもちろんですが、永久歯が生え揃うまでの子犬・子猫さんにもデンタルドックがお勧めです。

この時期から実施することで、歯並びの異常(不正咬合や乳歯遺残)や欠歯(永久歯が存在しないこと)や埋伏歯(永久歯が歯茎に埋まったまま出てこないこと)を早めに発見し対処することができます。これらを早めに発見することで将来の大きな病気を未然に防ぐことができます。

また、その子にあった歯磨きの方法を提案することで、より確実に歯周病を予防することが可能になります。

成犬になってからはもちろん、ベビー(子犬・子猫)の時期からの歯科検診は、健康な歯と快適な生活を守るためにとても大切です。永久歯が生え揃うまで毎月1回の受診がお勧めです。生えそろったあとは、歯磨きの状況次第ですが、長くても3〜6ヶ月に1回の受診を推奨しています。

特に成長とともに判明してくる不正咬合・乳歯遺残・埋伏歯がある場合は、若いうちから歯科検診を受けることが将来のトラブルを防ぐ鍵になります。また、1頭1頭違う歯並びをチェックし、歯磨きの注意点をご家族と共有することで、より効果的な歯周病予防が可能になります。

【実施内容】歯周病とデンタルケアについてのお話、視診、口臭チェック、歯垢検出ライトでの現状把握、口腔内写真撮影、オーダーメイドのデンタルケアプラン提案、ブラッシングのアドバイスおよび実践

【お勧め頻度】3ヶ月に1回の定期受診

【初回受診時期】1歳以降の全ての犬および猫

デンタルドックをお勧めする理由

  • 「その子に合ったペース」を知るため
  • お家での歯磨きが「ベストの状態」かチェックするため
  • 「隠れた痛み」を仕草から見つけるため
  • お口の「ガン(腫瘍)」を早く見つけるため
  • 「歯の欠け」や「神経の露出」を見つけるため
  • 歯が溶けてしまう病気(特に猫ちゃん)のチェック
  • 体に負担が少ない「ベストな処置時期」を相談するため
  • 「今すぐ治すべき歯」をはっきりさせるため
  • 噛み合わせの悪さで、口の中が傷つくのを防ぐため
  • 「口を触られること」に慣れてもらうため

SCALING

麻酔下スケーリングと無麻酔スケーリング

最近でこそ減ってきましたが、少し前まで「無麻酔スケーリング」という処置が動物病院以外の様々なところで行われていました。

無麻酔での処置は、AAHAやAVDCでも推奨されておりません。当院でも基本的に麻酔下スケーリングでないとスケーリングを実施する意味がかなり少ないと考えています。

それぞれにどのようなメリット・デメリットがあるかを以下にまとめます。

麻酔下 vs 無麻酔 スケーリング比較

比較項目 🏥 麻酔下スケーリング
(当院推奨)
無麻酔スケーリング
主な目的 「病気の治療」と根本的な予防 「見た目の清掃」(美容・表面のみ)
歯周ポケットの清掃 奥まで完全に清掃可能。歯周病の進行を食い止めます。 清掃は不可。歯ぐきの奥に細菌が残り、病気が進行します。
レントゲン検査 精密に実施可能。歯根の炎症を見逃しません。 実施不可。隠れた痛みや病気を見つけることができません。
痛み・恐怖心 全くありません。眠っている間に全ての処置が終わります。 強い恐怖と痛みがあります。無理な保定によりトラウマになることもあります。
安全性(誤嚥など) 気管チューブで気道を確保。水や細菌が肺に入るのを防ぎます。 処置中の水や細菌を吸い込み、肺炎を起こすリスクがあります。
処置後の再付着 研磨(ポリッシング)で表面をツルツルにするため、汚れが付きにくいです。 歯石除去後のエナメル質の傷に、以前より早く汚れが付着してしまいます。
麻酔のリスク 事前の検査と徹底したモニター管理で、リスクを最小限に抑えます。 麻酔リスクはありませんが、突然の暴れによる骨折や怪我のリスクがあります。
費用と時間 検査・麻酔費用がかかり、当日のお預かりが必要です。 比較的安価で、その場で終わります。
総合評価 ◎ 根本的な治療
長期的な健康を守るための医療です。
△ 一時的な変化
病気を隠してしまう恐れがあります。

※ 当院では麻酔下スケーリングのみを実施しております。麻酔に不安をお持ちの方も、事前の精密検査と徹底した管理のもとで安全に処置を行いますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

飼い主様からよくいただく、日常的な疑問にお答えします。
その他のご不明点はお気軽にお問い合わせください。

Q1

歯磨きを嫌がります。どうすればいいですか?

+

最初からは、歯ブラシを使わなくても大丈夫です。まずは口周りを触る練習から始めましょう。当院ではその子に合わせたステップを一緒に考えていきます。

Q2

歯磨きガムやデンタルケアのおもちゃだけで、予防になりますか?

+

補助的な効果はありますが、歯周ポケットの汚れを落とすには不十分です。人間がガムや口腔洗浄液だけで済ませないのと同様、ブラッシングとの併用が理想です。

Q3

人間用の歯ブラシや歯磨き粉を使ってもいいですか?

+

お控えください。人間用にはキシリトールなど動物に有害な成分が含まれる場合があります。必ず動物専用の安全なものを選んであげてください。

Q4

歯磨きをすると血が出ることがあります。やりすぎでしょうか?

+

やりすぎではなく、歯肉炎のサインかもしれません。炎症がある場所を無理に磨くと痛みを伴いますので、一度診察を受けて状態を確認しましょう。

Q5

シニア犬ですが、今から予防を始めても遅くないですか?

+

遅すぎることはありません。高齢な子ほど、お口のケアが内臓疾患の悪化を防ぐことにつながります。体調に合わせた最適なプランを提案いたします。