こんにちは。サークルどうぶつ病院五条です。
みなさんのワンちゃん・猫ちゃんが最後に健康診断を受けたのはいつですか?
「春に受けたから大丈夫」「元気だし食欲もあるから問題なさそう」と思っていても、実は油断は禁物です。
この記事では、健康診断の大切さと、秋冬にもう一度(年に2回以上)健康診断を受けていただきたい理由をお伝えします。
1. 健康診断が大切な理由
病気を早く見つけられる
ワンちゃん・猫ちゃんは、人間のように言葉を話せません。病気があったり、しんどかったりしても、すぐにはわからないことがあります。気づくのが遅れると、病気が進んだ状態で初めて見つかり、そこから治療を始めることになります。その結果、治るまでに時間がかかったり、治せない状態になっていたりすることもあります。
- がんの場合:小さいうちに見つかれば、手術で取り除いて完治が見込めることもあります。しかし進行した状態で見つかると、ほかの場所に転移している可能性があり、治療しても治らないことがあります。
- 猫ちゃんの慢性腎臓病の場合:猫ちゃんにとても多い病気です。早い段階から治療を始めれば、ごはんの変更やサプリメントなどで進行をゆっくりにできることがあります。一方、進行してとてもしんどい状態で見つかると、そこからお薬や治療を行っても、寿命が短くなってしまうことがあります。
「その子だけの健康の基準」がわかる
健康診断は、病気を探すだけの検査ではありません。「元気な今を記録しておく検査」でもあります。
たとえば、ある数値が高いとわかったとします。健康診断を何年かに一度しか受けていないと、その数値がいつから上がっていたのか、生まれつき高めなのかがわかりません。定期的にチェックしていれば、最近急に上がってきたのか、昔からそうだったのかを見分けられます。体重や血液検査、心臓の状態など、健康なときの数値を記録しておくことで、わずかな変化にも早く気づけます。
治療の負担と費用をおさえられる
早く見つけてケアを始めれば、重症化を防ぎ、体への負担をおさえられます。治療の選択肢も広がります。重症化してからの治療は通院の回数も増えるため、早期発見でおうちでのケアができたほうが、費用の面でも動物たちの負担の面でも、軽くすむことが多いです。
毎日のケアや食事を見直すきっかけに
健康診断では、体重測定や獣医師による触診・聴診を通じて、肥満の予防や歯周病のチェック、食事や運動のアドバイスもさせていただきます。日々のケアや生活習慣を見直す、よい機会にもなります。
2. 秋冬に健康診断を受けるのがおすすめな理由
春の予防シーズンより、ゆっくり丁寧に検査できる
「健康診断=春」というイメージをお持ちの方も多いと思います。春からフィラリア予防や狂犬病予防注射が始まるので、そのついでに健康診断を受ける方が多いためです。
ただ、春の予防シーズンは病院がとても混み合います。詳しい健康診断をなかなか実施できなかったり、注射と検査が重なってワンちゃん・猫ちゃんの負担が大きくなり、時間をかけて詳しく調べられなかったりすることもあります。秋冬は予防シーズンから外れているので、ゆっくり丁寧に検査ができます。
夏の疲れや体調の変化をチェックできる
人間と同じように、ワンちゃん・猫ちゃんも夏の暑さで体調を崩すことがあります。春の健康診断と比べて、夏の暑さによる疲れや体調の変化がないかをチェックできます。
寒い冬の前に、体の状態を把握できる
冬は、ワンちゃん・猫ちゃんにとっても体にこたえる季節です。本格的な寒さが来る前に、今の体の状態を把握しておけます。
春と秋冬で「半年に1回」になる
春に一度受けて、秋冬にもう一度受けると、ちょうど半年に1回の健康診断になります。この「半年に1回」がとても重要です。
1年に1回の健康診断では、その間に体の変化があっても、気づくのは1年後になってしまいます。半年ごとにチェックしていれば、病気が進んできていても、早く気づくことができます。
ワンちゃん・猫ちゃんにとっての1年は、人間に換算すると3〜4年ほどにあたります。つまり1年に1回の健康診断は、人間でいえば3〜4年に1回しか健康診断を受けていないのと同じです。3〜4年もあれば、体の状態は大きく変わります。半年に1回でも人間でいえば約2年に1回のイメージなので、最低でもそれくらいの頻度は必要だと考えています。
3. 秋冬に気をつけたい病気や体調の変化
泌尿器の病気(膀胱炎・尿石症など)
秋冬は寒く、あまり喉が渇かないため、飲む水の量が減りがちです。水分が足りないと膀胱炎になりやすくなったり、おしっこが濃くなって結石や結晶ができたりします。特に猫ちゃんはこの傾向が強いので、健康診断の尿検査でチェックしておきましょう。
心臓や呼吸器の病気
寒い時期は、心臓や呼吸器に負担がかかりやすくなります。空気が乾燥すると気管や気道に負担がかかり、ウイルスや細菌も増えやすくなるため、呼吸器の病気が増えることがあります。
関節の痛み
寒い時期は、関節が痛みやすくなります。特にシニアの子や、マンチカンやアメリカンカールのように生まれつき関節炎が起きやすい猫種の子は、関節の痛みが出ていないか、秋冬にチェックしておくことが大切です。
体重の増加
寒いとじっとしていることが多くなり、運動量が減りがちです。体重が増えて肥満になっていないかも見ておきたいポイントです。
4. 健康診断でわかること
検査ごとにわかることが違うため、必要な検査を組み合わせて行うことが大切です。
身体検査
通常の診察と同じく、獣医師が体を診ます。歯の状態、心臓の雑音の有無、痩せてきていないか、体重、体の痛みの有無、体温が平熱かどうかなどがわかります。
血液検査
- 腎臓、肝臓、膵臓などの内臓の数値
- 体のミネラルのバランス、血糖値
- 赤血球・白血球・血小板(貧血や炎症がないか、血がきちんと固まるか)
シニアの子には、甲状腺の数値が高すぎたり低すぎたりしないかを調べる甲状腺検査や、心臓病の血液マーカーもおすすめしています。
尿検査
軽く見られがちですが、とても重要な検査です。尿の状態は、血液検査やレントゲン検査ではわかりません。
- 尿に血が混じっていないか
- 尿たんぱくが出ていないか:腎臓病の早期発見につながることがあります。
- 尿が薄くなっていないか:尿が薄いのは、異常に水を飲んでいるサインです。シニアに多いホルモンの病気などが隠れていることがあります。
レントゲン検査
レントゲン検査は、特に肺の評価に向いている検査です。肺に腫瘍がないか、気管が狭くなっていないかといった変化は、レントゲン検査でなければ正確にはわかりません。肺の腫瘍も、初期の段階で見つかれば治療の負担が少なく、完治が見込めることもあります。
エコー(超音波)検査
エコー検査には、心臓を見る検査と、お腹の臓器を見る検査があります。お腹のエコー検査では、次のようなことがわかります。
- 肝臓、腎臓、腸などにできものがないか
- 血液検査の数値には出ていない、初期の異常がないか
- 脾臓など、血液検査に変化が現れにくい臓器にできものがないか(意外と多く見つかります)
5. 年齢ごとの受診の目安
子犬・子猫(1歳になる前)
去勢手術・避妊手術をする場合は、そのタイミングで血液検査やレントゲン検査を行います。健康診断としては、ひとまずそれで十分だと考えています。
1歳から
半年に1回の健康診断がおすすめです。
- 少なくとも年1回:血液検査だけでなく、レントゲン検査、エコー検査、尿検査などを含めた、より精密な検査を受けてください。
- もう1回:血液検査だけでもかまいません。
費用に問題がなければ、年2回とも精密な検査を受けていただくのが一番のおすすめです。見落としが少なくなります。
シニア期
シニアになると、ホルモンの病気、心臓病、腫瘍など、起こりやすい病気が変わってきます。こうした病気は1つの検査だけでは見つけられないこともあるため、次のような検査を組み合わせることがとても重要です。
- 血液検査(甲状腺、がんのマーカー、炎症のマーカーなども含めて)
- レントゲン検査、エコー検査(心臓も含めて)
- 尿検査
シニアの子も、少なくとも半年に1回は受けてください。年3〜4回受けるのもよいと思います。その場合、毎回すべての項目(当院でいう「スペシャル」コース)を受けるのではなく、3か月ごとのうち2回は気になるポイントだけを調べる、という方法でもかまいません。
6. 健康診断を受けるときの準備
- ごはんは抜いてきてください:できれば、健康診断の前のごはんは抜いてきてください。お腹のエコー検査が見やすくなるうえ、食後は肝臓の数値や中性脂肪(トリグリセリド)の数値が上がることがあるため、より正確に判断できます。再検査が必要になることも減らせます。
- おしっこの持参(スタンダード以上のコース):尿検査をご希望の場合は、おしっこを持ってきてください。できれば当日にとれたおしっこを、来院直前まで冷蔵庫で冷やした状態でお持ちください。なお、便の検査はコースには含まれていません。
- 気になる症状を教えてください:どんなささいなことでもかまいません。気になることを教えていただけると、とても助かります。
7. 当院の健康診断について
3つのコース
| コース | 検査内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| ライト | 血液検査 | 15〜30分 |
| スタンダード | 血液検査、胸部レントゲン検査、腹部エコー検査、尿検査、歯周病チェック | 15〜30分 |
| スペシャル | スタンダードの内容に加えて、腹部レントゲン検査、心臓エコー検査、血液の炎症マーカー | 30分〜1時間 |
どのコースが合うかは、年齢や調べたいこと、その子のこれまでの状態によって変わります。迷ったときは、お気軽にご相談ください。
ご予約方法
- ライト・スタンダード:LINEやWebから、通常どおりご予約いただけます。お電話でも承ります。
- スペシャル:お時間がかかるため、お電話でご予約ください。日程を調整させていただきます。
まとめ
健康診断は、その子が健康なうちに贈ってあげられる、最大限のギフトだと思っています。
私たちもつい、病気になってから病院に行くことが多いものです。でも一番大切なのは、病気になる前から健康な状態を保ち、その状態をできる限り長く続けることです。それが、ワンちゃん・猫ちゃんにとっても、ご家族にとっても幸せなことだと思います。
また、病気が見つかってから一生懸命治療に通うよりも、早く見つけて早く治療できたほうが、費用をおさえられることもとても多いです。
秋冬の健康診断を含めて、ぜひ半年に1回の健康診断をご検討ください。これまで受けていなかった方は、この機会に、まずは年1回の健康診断から始めてみてください。

